ここ最近のメールウィルス騒動もようやく一段落したらしい.
まぁ当然として plain text を開いただけで感染するようなコンピュータウィルスなんざ実装不可能なわけだけど,
これってミームにおけるウィルスとして捉えれば,実に成功したミームだよね.
ちなみにミームとはリチャード=ドーキンスが提唱した
「DNAでなく情報を媒介とした自己複製子」の名称で,
通常の生物がDNAから成る生物体としての表現型(体の色とか形とか)によりダーウィン型の自己複製を行なうのに対し,
ミームは情報から成る「伝達されやすさ」で自己複製を行なう.
つまり,弱いミームとは「すぐ忘れられて話題にならなくなる情報」であり,強いミームとはその逆である.
また,ミームにおける突然変異は,いわゆる伝言ゲーム形式に情報が改竄されていくことがそれにあたる.
で,通常のウィルスってのは,自分ではDNAの複製能力を持たず,
別の生物体の複製機関を占領して,かわりに自分のDNAを複製させて増殖する.
これをメールウィルス騒動に当てはめてみると,まず大元の「メールを媒介したウィルスの話題」というミームがある.
「internet の話題」という超強力なミームが既に世界中に広まっているので,
それに関連したミームである「コンピュータウィルスの話題」も極めて強力.
しかも悪意でなく善意によっているから,ますます強力だ.
でもこいつは単に強力なミームであるだけ.
真の意味でのミームウィルスは「これはデマだから広めないでね」ってやつだ.
このミームは単体では何の意味もない,つまりミームとしての強さを持っていないわけだけど,
ひとたび強力なミームに寄生すると,まさに瞬時に増殖する.
つまり「ウィルスの話題」ミームの複製機関を利用して自らを複製するわけね.
自己複製しすぎると宿主を殺してしまうあたりなど,
コンピュータウィルスよりも,まさにDNAウィルスによく似ている!
うーん面白いなぁ.
「出所はIBMです」とかで次第に変異して強力になっていく
「メールウィルス」ミームの行く末も観察してて面白いけど,
このミームウィルスが今後どうなっていくか,想像するのも面白い (^_^