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#日記
本日の読書
「ナノテクの楽園」著:エド=レジス,訳:大貫昌子(ISBN4-87502-280-8)
ナノテクとは,物質を構成する原子を設計した通りに並べてメカニズムを作るテクノロジーのこと. K=エリック=ドレクスラーという米国の科学者が唱える,未来の工学である.
この書は彼の生い立ちやその科学的思考を伝記的に綴りつつ,ナノテクの実現性やその未来を記述する.
タダ同然の各種原子を原料にあらゆるものを製造できてしまうナノテク機械が人間社会にどんな影響を与えるか?
で,つまり原子を組み替えて何でも作れるようになってしまったら人間社会が全然変っちゃうぞー, って本なのだけど,当然なんとなくうさんくさい.
原子を組み替えるための技術は近い将来に実現するだろうし, この書でいうナノテクだっておそらく実現可能なんだろうけど, 「欲しいものは何でも原子から自由に製造でき,病気等もなく,労働の必要もない理想郷」 なんつー概念はもう根本的に拒絶してしまうのー.
しかしこの著者っつーかドレクスラー博士のすごいとこは, そこまで考慮して「そういう社会になった時に人間はどうやってすごすべきか」 までいろいろ考慮してるあたり...なんだけど本書でその答えは出ていない. 実際そんな環境になったら,みんな麻薬漬けになって, でも中毒にはならないからすぐまたもっとエスカレートするだろーね. その後どうなるんだろう...
全体的に見て,専門的な書ってよりは読み物的かな. 借りてきた本だけど,自分で買いたくなるほどではなさそうだ. でもナノテクの実現性と多くの例が載ってるので, そのあたりの知識ベースとしては少し役に立ったかも.