▽19971114a
#日記
さて昨日に引き続き血液型のページからリンク貼られたページを読んでみる.
多義性についてのページがあったんだけど,
このページに「The Selfish Gene の著者は根本的に間違っている」という見過ごせない発言があった.
「The Selfish Gene」日本語訳で「利己的な遺伝子」の著者つーたら,
あたしの尊敬するリチャード=ドーキンス先生じゃないですか.
で,詳しく読んでみると,こういうことだ:
「遺伝子(==DNA)の発現のメカニズムは非常に複雑だが,
結論としていえることの一つにDNAの多義性がある.
DNAは一つで一種類の表現形を持つのではなく,
一つのDNAの変化は複数の表現型の変化をもたらす.
よって,「表現形の変化==遺伝子の変化」とする利己的遺伝子理論は,
根本的な前提条件が誤っているといえる」.
批判するからにはきちんと原書および関連書まで読んどけ.
前提からして誤っている.「遺伝子==DNA」式は,ある文脈では正しいかもしれないが,
それはドーキンスの文脈ではない.
このページの著者たちはこの式を前提にして,
「遺伝子」という言葉を使っているドーキンスの理論を批判しているのだが,
ドーキンスの「延長された表現型」では,
この「遺伝子」という言葉の多義性について正確に論じ,
「オプティモン」という単位を提唱している.
この定義は「表現型の差違」に基づいてのみ測られるもので,
つまり彼らは自分たちの尺度に基づいた解釈で他者の批判をしているというわけだ.
で,つまり何が言いたいかってーと,
他者の信じるものを否定する時にはよほど慎重にそれを研究した上でないといけないね,みたいなー