最も感動したのは,「火」「水」の他に,マシンガンの乱射で飛び散る「破片」までもが, リアルに表現されていたことだ. これであと「煙」とか「霧」なんかがリアルに映像化できるようになれば, もはや自然現象で映像を作れないものはなくなるだろう.
例えば何かが爆発するシーンを撮る場合. かつては,何かを爆発させてそれを撮るしかなかった. しかし今では,コンピュータで, 何かが爆発する映像を作り出すことができるのだ. 実際に爆発させるのでは,例えば失敗してもう一回撮る必要がある場合, その同じ何かをもうひとつ爆発させねばならない. CG では,単に映像を作りなおせば済むのだ. しかも,CG では,そのディテールを自由に変更できるのだ.
「単に」といってもこれはコストがかかる. かつては,実際に爆発させた映像と同じクオリティの CG を作るには, 実際に爆発させるよりもコストがかかった. コンピュータの進歩によりコストは下がり, やがて双方のコストラインが交わり, CG の方がコストがかからずに済むことになる.
背景だけじゃない,人間だって同じことだ. いずれ,本物の人間を全く使わずに,登場人物を作れるようになる. 俳優を雇うより安くあがるからだ. 最初は,モブシーンやバックのエキストラなど, 「個性」や「味」を必要としないキャラクタから,CG で置き換えられていくだろう. 「味」というものを CG で表現する事はそうでないものよりもコストがかかるからだ. しかし,さらに時がたてば, 主人公ですら本物の人間を使わない映画ができる事もありえなくはない.
こうした映像を否定する人間も多くいるだろう. EPISODE I の映像に関しても, 「CG を多様しすぎて,画面が嘘っぽい」といった否定的な意見も聞くしね. しかし,本物の背景でも作った背景でも, フィルムに収まってしまえばそれは単なるデータなのだ. 同じデータになるように背景を作れば,本物の背景との区別はつかない. 背景に限らず,他の何でも,地面でも人間でも同じ事だ.
コストは下がりつづけていて,今後も下がりつづけそうであるから, ますますこういった CG による置き換えが進みそうだ. あたしが映画を見れるうちにどこまで進めるか, ぜひ見届けたいものだ.